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自然と歴史
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自然の中に歴史がある

by kwsan
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瓦の刻印の調査
瓦の刻印 第1回
最近は色々な瓦が造られ、メーカー名、屋号が刻印として瓦に表
示され、ロットNo 等も見受けられる。
色々な刻印を表示する事が困難であった時代、文字から製造者、
地域などが判るよう作られ、鬼瓦等はへらで必要事項が誌された。
高山地区にも数件の瓦屋が存在したと生駒市誌Ⅲに紹介されてい
る。生産された瓦は主に地元で消費され、他の地域で使用されるこ
とは少なかった、地元で造れない瓦などは他の地区より購入したと
考えられる。

図 1
刻印(銘) 高 森岡 安平
瓦の種類     丸瓦 平瓦、軒瓦、桟瓦
確認場所     民家、本願寺、廃寺大雄寺(観音堂)
交野市民家(交野市文化財だより13号による)
刻印の意味  「高」は高山地区を表す。
 「森岡」は生産者を表す。
生産者 森岡家は、高山地区で瓦屋を営んでいたことは生
駒市誌Ⅲに紹介されているが、活躍したのは明治
以降である。末柄は戦後大阪市に移転したと聞く。

           図 1
瓦の刻印の調査_e0085845_10393022.jpg



















図 2
刻印(銘) 高瓦房
瓦の種類    丸瓦、 棟瓦、軒瓦、冠瓦
確認場所    民家、 廃寺大雄寺
刻印の意味 「高」は高山地区を表す。
「瓦」は瓦屋を表す。
       「房」は生産者を表す。
生産者     明治初期から戦後まで活躍した瓦屋で「房吉」と
       いう、戦後は交野市の有山瓦屋の出張所を営んで
       いた。(新聞広告参照)地元では「どびや」とい
       う屋号で呼ばれ、末柄は平成の時代奈良市内に移
       転したと聞く。屋号「どびや」が文献に現れるの
       は、明治10年頃で「房吉」が文献に現れるのは、
       明治20年頃である。

            図 2
瓦の刻印の調査_e0085845_10523915.jpg

































図 3       
刻印(銘)   高瓦仁
瓦の種類   桟瓦、棟瓦(京箱タイプ)、丸瓦、ゴンロク桟瓦
確認場所   民家、廃寺大雄寺
刻印の意味  「高」は高山地区を表す。
       「瓦」は瓦屋を表す。
       「仁」は生産者を表す。
        生産者生産者名は判らないが、瓦の使用されている建造
       物から明治時代の瓦屋であったことには間違いな
       い、刻印の種類は写真のように幾種類かあり、瓦
       の種類で使い分けていたのかも知れない。
           
             図 3
瓦の刻印の調査_e0085845_10514606.jpg


































図 4
刻印(銘)   高山 瓦法橋
瓦の種類   桟瓦、軒瓦
確認場所   民家
刻印の意味  「高山」は高山地区を表す。
       「瓦」は瓦屋を表す。
       「法橋」は生産者の屋号を表す。
生産者    生産者「三夫」の先祖が僧侶であったところから
      「法橋」の屋号が付いたと云われている。瓦屋と
      しての実績は文献には現れないことから、活躍し
      た時代は、明治の一時期であったのではないかと
      考えられる。末柄は今も健在である。

            図 4
瓦の刻印の調査_e0085845_10564735.jpg
































図 5
刻印(銘)    高山瓦為
瓦の種類    軒瓦
確認場所    民家(井戸館)
刻印の意味   「高山」は高山地区を表す。
        「瓦」は瓦屋を表す。
        「為」は生産者を表す。
生産者     万延2年(1861)の文献に「中村為藏」と
        出て来るのが初見で、文久2年(1863)の文
        献には「瓦や為藏」と誌されていることから推測
        すると、久保地区中村垣内に生産地が存在したの
        ではないだろうか。瓦屋としての実績はあまり知
        られていない。

             図 5
瓦の刻印の調査_e0085845_10423014.jpg


































図 6
刻印(銘)    大 和刕高山 中井瓦商 ほ
         大 和刕高山 中井瓦商
瓦の種類     丸瓦、軒瓦
確認場所    法楽寺(土塀の屋根瓦及び横門の屋根瓦)
刻印の意味   「大」「ほ」は何らかの記号ではないか?
        「和刕高山」高山地区を表す。明治以前は「和刕
        添下郡高山」と呼ばれていた。(刕=州)
        「中井瓦商」生産者又は販売者を表す。
        生産者「中井瓦商」については判らない。

             図 6
瓦の刻印の調査_e0085845_10454321.jpg

































図 7
刻印(銘)    大褒
        第5回内国 勧業博覧会
        瓦商 和刕高山 有山房吉
瓦の種類    棟瓦(京箱タイプ)
確認場所    法楽寺(元御堂の棟瓦)
刻印の意味   第五回内国勧業博覧会
        は明治36年(1903)大
        阪市天王寺今宮で3月1
        日~7月31日迄開催さ
        れた。博覧会に出品され
        たと同等の瓦である。
       (参考国立国会図書館
        文書、生駒市誌Ⅲ)
生産者     「有山房吉」

         図 7
瓦の刻印の調査_e0085845_10463895.jpg

















































図 8
刻印(銘)    ○谷 瓦辰
瓦の種類    丸瓦
確認場所    法楽寺(御堂跡)
刻印の意味   「○谷」は生産地を表す。
        「瓦」は瓦屋を表す。
        「辰」は生産者を表す。
生産者      生産地は「○谷」の部分が不鮮明であるが推測では「鳥」
        に見える、「鳥」とすれば「鳥谷」となり、高山
        に近い場所では「精華町東畑鳥谷」が該当する。
        名前については「辰○」ではないだろうか。
        東畑地区にも瓦屋があったことは伝承されている
        が詳しいことは判らない。

修正文
平成29年11月25日、「鳥谷」ではなく「乾谷」
        であることが判明した。その結果、生産地は「精華町乾谷」
        に修正する

           図 8
瓦の刻印の調査_e0085845_10430542.jpg


































図 9
刻印(銘)   穂瓦兵
瓦の種類   桟瓦
確認場所   本願寺(天満宮)
刻印の意味  「穂」は生産地を表す。
       「瓦」は瓦屋を表す。
       「兵」は生産者を表す。
生産者    「穂」で始まる高山に近い地域は「枚方市穂谷」
       に該当する。「兵」について、詳しいことは判ら
       ない。

             図 9
瓦の刻印の調査_e0085845_11130803.jpg
































図 10
刻印(銘)   打瓦吉
瓦の種類    軒瓦(葺き替えのため外された瓦)
確認場所    墓地(地蔵尊堂)
刻印の意味  「打」は生産地を表す。
       「瓦」は瓦屋を表す。
       「吉」は生産者を表す。
生産者    「打」で始まる高山に近い地域は「京田辺市打田」
       が該当する、名前の「吉」については判らない。

           図 10
              瓦の刻印の調査_e0085845_11163864.jpg


































図 11
刻印(銘)   中瓦佐
瓦の種類   特殊丸瓦(葺き替えのため外された瓦)
確認場所    墓地(地蔵尊堂)
刻印の意味  「中」は生産地を表す。
       「瓦」は瓦屋を表す。
       「佐」は生産者を表す。
        生産者生産地及び生産者は判らない。

          図 11
瓦の刻印の調査_e0085845_11162555.jpg

































図 12
刻印(銘)    私瓦八
瓦の種類    鳥衾瓦、軒瓦、丸瓦、平瓦(ゴンロク)
確認場所    法楽寺(元御堂屋根瓦、横門屋根瓦)、本願寺
刻印の意味   「私」は交野市私部を表す。
        「瓦」は瓦屋を表す。
        「八」は生産者を表す。
        生産者生産者は交野市私部の「大矢八兵衛」江戸中期に
        活躍した瓦師で、法楽寺の瓦に多く使用さている
        のが見受けられる。

             図 12
瓦の刻印の調査_e0085845_10425557.jpg

































図 13
刻印(銘)    瓦師 河刕私部住人 大矢八兵衛
        文化五年 戊辰二月中旬造之
瓦の種類    鬼瓦(数珠掛鬼面タイプ)
確認場所    法楽寺御堂(御堂移動時に取り外された鬼瓦)
刻印の意味   文化5年に私部の瓦師大矢八兵衛が造ったと鬼瓦
        にへら書きされている。
生産者     瓦師大矢八兵衛は江戸中期、交野市私部で活躍し
        た瓦師で、小田原城の鬼瓦、寝屋川の法安寺の獅
        子口瓦は八兵衛の作である、交野市の寺村、森村、
        私部村、倉治村、郡津村等にも多く使用されてい
        た事実が確認されている。
         (参考交野市文化財だより13号)

             図 13
瓦の刻印の調査_e0085845_11371666.jpg




































図 14
刻印(銘)    ○波  ○天 天○○
瓦の種類     鬼瓦
確認場所    本願寺(使われていた建物は判らない)
刻印の意味   不明
生産者     不明 
        「○」の部分は風に晒されたのか確認出来ない 


           図 14
瓦の刻印の調査_e0085845_11254551.jpg










by kwsan | 2017-10-22 11:47 | 歴史